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C 素晴らしい家庭教育にため息 -敬意に国境は無い!-
今回は私の義母についてお話をしたいと思う。
義母はフランス人。アルザス地方で生まれ育った生粋のアルザス女性。63歳まで教師として働き又私の夫を含む2人の息子を育て上げた。今年75歳になるのだが、信じられないくらい若々しく活き活きとしている。彼女の素晴らしさを上げればきりがないのだが、彼女の最大の功績の1つは(!)息子達への教育だと思っている。
私の夫は家事万能。特に料理の腕前は素晴らしいものだが、それが所謂仰々しい「男の料理」とかではなく、残り物を上手に使って一皿作ったり、後片付けまで完璧にする、「完璧な家庭料理人」なのである。とても自然に台所を占領し、とても自然に掃除をし洗濯をする。聞いてみれば彼は10歳の頃から義母に家事を習っていたそうである。素晴らしい事ですね、と感心する私に彼女は言った。「私は別にフェミニストじゃないし、男女平等とかそういう事で息子たちを仕込んだわけじゃないわ。男でも女でも、家の事も外の仕事も両方きちんと出来なければ一人前とは言えないし、人間として生きていくために必要な事を教えただけよ」
そして彼女の教育方針の極めつけ。「私は彼らに煩い事は言わないで自主性を尊重してきたつもりだけど、RESPECT(敬意)を持って人と接する事だけは教えてきたつもり。」
そう、そうなのだ。夫は人に対しとても優しい。人の話に真剣に耳を傾け、意見を求められたらしっかり人の目を見つめて話す。これは当たり前の様でいて中々出来る事ではないと思う。
そして、挨拶を忘れない。日本の私の両親は彼の礼儀正しさ、挨拶の爽やかさに心から感心している。又、肉や魚を食べる時は絶対に自分のお皿に残さない。彼に言わせると、「生き物を殺して食べている訳だから、残さず味わって食べるのが生き物に対するRESPECTだよ」。
フランス人、日本人という違いを超え、又世代の違いを超えた「RESPECT」が、母親から子供に確実に伝えられてきたのだ。
結婚して以来、義母には色々な事を教えてもらっている。結婚した時私は彼女に「フランスの習慣等に不勉強なので、何かおかしな事をしたらびしびし指導して欲しい」とお願いした。その通り、彼女は実に率直に私の間違いを指摘し、教師時代其のままに私にどうすれば良いか教えてくれる。フランスにも嫁姑問題は健在なので、通常は「嫁だから」という事で遠慮し、結果的に気まずくなってしまう事も多いという。彼女にとっては勇気のいる事なのだろう。これも、私の意思に対する彼女の敬意だと思いいつも心の中で手を合わせている。
ヨーロッパに来て以来、例えば店員の態度の悪さとか、公共施設の職員の不親切さを嘆いては「日本とはえらい違いだ」と思う事が度々あった。日本の社会では確かに「敬意」は大切な事であり、日本人の価値観のベースになっているものだと思う。しかし、私たちの世代の日本人はこの「敬意」を確実に次の世代に伝えていけるだろうか?この消費社会の中で、自分のために殺される生き物に対する感謝と敬意を持ち続けていく事が出来るだろうか?ましてや義母の様に、家庭教育の中で確実に教えていけるものなのだろうか?